わたしが住んでいるバンクーバーに限らず、カナダそのほかの国へワーキングホリデーに行って、ホステルやホテル等のホスピタリティー系で働くことに興味がある人は少なからずいると思います。
特に宿泊施設のフロントデスクは英語など現地の言葉も使えて、実地での語学学習にうってつけのポジション、ワーホリで外国に行くなら是非挑戦してみたいポジションですよね。
今回はそんな人たち向けに、わたしがバンクーバーのホテルで働いてみた経験をもとに、実際に働くとなるとどんな感じか、体験談を交えながら、フロントデスクの仕事の様子を紹介していきます。
・ホテルフロントデスクの仕事内容
・こんな人ならやっていける!
・ここが面白い!ここがつらい!
・アプライの仕方
・相場の時給
ワーホリに行って現地のカフェで働きたい人向けの記事もいくつか書いていますので、よければ合わせて読んでみてください。
また、ホテルのフロントで働くにはまだ英語にちょっと自信がない…という人は、ホテルのブレックファーストバーアテンダントの仕事から挑戦してみるのはどうでしょう?こちらも過去働いていたときのことを思い出しながら記事にしてみましたので、参考にしてもらえると嬉しいです。
どんなホテルで働いてるの?
仕事内容を紹介する前に、私が働いているホテルについて。
わたしが働いているのは、バンクーバーダウンタウン内のGranville streetの一角にある小さなホテル。Granville streetは大きなデパートや飲食店などの商業施設がたくさんある、ダウンタウンでもひときわ賑やかな通りです。
ホテルは全部で40部屋程度の本当にこじんまりしたサイズで、フロントは常に一人体制で回しています。名前は「ホテル」ですが、部屋はすべてアンスイート(各部屋にバスルームがついておらず、共用)。
ホステルやバックパッカーの全部屋プライベートルームバージョンだと思ってもらうと、想像しやすいかもしれません。ヨーロッパに旅行したことがある人なら「ヨーロッパスタイルのホステル」を想像してください。
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ワーホリでもホテルで働ける?
ワーキングホリデービザでも、ホテルのフロントデスクで働くことは充分に可能です。ただし、ゲスト対応・取引先の電話対応等、日常会話以上の英語スキルは必要です。
ホテル=世界中からのゲストが来るという特性上、英語以外の言語が話せると言うのはかなりの強みになりますし、面接の際にもそう言われました。日本人が来るホテルを狙って応募していくと、仕事が見つかりやすいかも知れません。
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ホテル フロントデスクの仕事内容
チェックイン・チェックアウト
ゲストのチェックイン・チェックアウトはホテルフロントデスクのメインの仕事の一つです。
ゲストがホテルに到着したら、名前とゲスト数、宿泊日程を確認して部屋を割り振ります。
夏場のピークシーズンなど混んでいる時期だとなかなか難しいですが、このときに「大通りに面している部屋がいい」「バスルームに近い部屋」「静かな部屋がいい」とか、もしも希望があればなるべくそれに沿うようにしてあげます。
ゲストのIDとクレジットカードを確認して、チェックイン書類を作成してホテルポリシー(規約)について説明、サインをもらったら、お部屋代を精算、鍵を渡してチェックイン完了。(うちのホテルはチェックイン時精算なのです。)
このときにかんたんにホテル施設の説明もします。
予約の管理・入力
ホテルフロントの仕事2つ目は、ゲストの予約管理です。
主にやることは、ホテルの予約管理システムへの入力とBooking.com やエクスペディア等(サードパーティーと呼びます)での予約可能部屋数の確認・変更です。
大きいホテルだとリザベーションチームがあって、フロントデスクは特に予約管理に関してはあまり触らない場合もあるかもしれません。うちは小さいので、フロントデスクが全部やります。
だいたいはサードパーティーのウェブサイトを通して予約がくるので、その情報を見てゲストの名前・宿泊日程・クレジットカード情報等を予約管理システムに入力していくだけ。パソコンが使える人なら、慣れてしまえばかんたんです。
このときに部屋の仮振り分けもします。
もしゲストから「できれば一階の部屋希望」などリクエストがあれば希望に沿うようにして、”room on the 1st floor preferred”などとノートを入れて、ほかのフロントデスクスタッフと情報の共有ができるようにします。
フロント一人体制なので、他のスタッフとの情報共有は特に大切です。
予約なしで「今日部屋あいてるー?」とやってくるウォークインゲストがいた場合、その後でサードパーティーのウェブサイトの予約可能部屋数を変更します。これを怠るとうっかりオーバーブッキングになってしまうので、こういう場合の予約の管理はちょっと気を使うところ。忙しい時期は特に気をつけなければいけない点です。
電話対応
ホテルにかかってくる電話のほとんどは「今日部屋あいてる?いくら?」これです。
ときどき間違い電話もあったり
続→
— Meg🇯🇵🇦🇺🇨🇦☕️x👩🎨 (@meg3van) August 9, 2019
電:いや、レストランに…
私:(だからうちに併設のレストランはねぇ!)お掛けの番号は〇〇でこちらは〇〇ホテルですが
電:はっ?!なんかよくわからんがシステム?通してかけたのになんで違うとこに掛かってるんだ?!(がちゃん!)
ごめんなさいって英語ではI’m sorryって言うんだよおお!
出たら何故か自動音声で「そっちが掛けてきとるんじゃ!w」ってこともありますが(笑)。
電話かかってきたので取ったら
— Meg🇯🇵🇦🇺🇨🇦☕️x👩🎨 (@meg3van) October 31, 2019
“Nobody is available to take your call at the moment”~音楽が鳴り出す~
て自動音声だったんだけどお前がかけてきたんじゃー!!笑
なんのscam?笑
周辺情報やかんたんな観光案内
ホテルのフロントデスクで働いていると、ゲストに結構いろんなことを聞かれます。
バンクーバーという土地柄、観光・レジャー目的のゲストや、学会やコンベンションなどのビジネストリップで訪れているゲスト、どこかへ行く途中でちょっと一泊だけバンクーバーに泊まってみた人など、いろんな目的のゲストが来ます。
きちんと数えたことがあるわけではないので正確な数字はわかりませんが、わたしの体感ではうちのホテルに関しては【観光目的8割:ビジネス目的2割】という印象です。
そんなゲスト構成のなか、聞かれる質問ダントツ第一位がこれ
「この辺で美味しい飯屋どこ?」
うむ、自分のお腹に素直でよろしい!(笑)
しかし同時にあまりにもざっくりしている質問ではあるので、「何系がいい?安めのほうがいい?ベジタリアンとかヴィーガンメニューもあったほうがいい?」など少し掘り下げて質問仕返して、用意しておいた自分のおすすめリストのなかから「じゃあこの辺がいいかな」というのを何店舗か教えてあげます。
ご飯から帰ってきたゲストの「教えてくれたお店美味しかった!お腹いっぱい!」という言葉が結構嬉しいです。
ほかの質問で多いのが「〇〇駅にはどうやって行くの?」「バンクーバーアイランドに日帰りで行きたいんだけど行き方教えて」「バンクーバーって水道水飲めるの?」などです。
最初は答えるのにググった質問もありましたが、聞かれる質問はだいたい決まっていますので、1ヶ月もすると慣れてきてスムーズに答えられるようになります。
タクシーの手配や観光ツアー・レストランの予約
フロントで頼まれることが多いのがタクシーの手配。
何時に必要かと行き先をゲストに聞いて、タクシー会社に電話をかければ完了です。(すぐに配車が必要な場合はタクシー会社に何分位で着くかも聞いてあげます。)
ツアーやレストランの予約については、いまやインターネットでできることがほとんどなのであまり頼まれることはありません。
年配の方でパソコン・スマホが苦手じゃ…という人はフロントデスクに頼みにくる場合もあります。一部のツアー会社では、ホテル経由で予約をするとホテルにインセンティブが支払われるので、ここは快く引き受けます(笑)。
ホテルフロントデスクの仕事はこんな人ならやっていける!
ホテルフロント業務がざっくりわかったところで、「こんな人ならこのポジション乗り越えていけるぜ!」と個人的に思うところを書いてみます。
その1:人と話すのが好き・コミュ力高め
対面で人に関わるのがメインの業務なので、「できれば一生引きこもっていたい・人と話すの嫌い」な人にはあまり向きません。フリでもいいので「人と関わるのが好き」っぽさを出せるほうがいいです。
ときどきホテル到着までにフライトが遅れたりいろいろな理由で、到着時からむっちゃ不機嫌なゲストがいます。
「それはうちのせいじゃないけん、そんな不機嫌全面に出されても知らんがな」と思うところをぐっと抑えて「それは大変でしたね。」と相手を肯定、そこから「楽しい滞在になるかも」と思わせる雰囲気づくりができるコミュ力があると、ホテルのフロントデスクとしては最強です。
その2:マルチタスキングかつ落ち着いて仕事ができる
「チェックインゲストが同時に複数組到着してそこに電話もかかってきて…
あ、ウォークインのゲストまで入ってきた…部屋が空いてるか?ちょっと待て、システム見ないとわからん!
え?一番近い駅への行き方?右曲がって直進徒歩7分!!
やばい、みんなチョット 待 っ て!」
これ、夏場だと実際に起こり得る状況です(笑)。
一度にいろんなことが起こっても、とりあえず深呼吸。
落ち着いてざっと状況把握、間違えずに一個一個処理、同時に次にやるべきことをすぐ整理して実行していきます。特にクレジットカード精算とかお金関係は、間違えたらそのあと面倒くさいことがあるので丁寧に。
ていうかまあ、ぶっちゃけ慣れです、この辺は。「じゅーんーばーん!」(トトロのさつきちゃん風に)くらいの気持ちで処理していきます。
その3:結局これが一番大切!相手に喜んでもらいたいと思える人
どんなに事務処理能力が高くても、ゲスト対応が機械的だと相手に「冷たい」という印象を与えてしまいますよね。
人と関わる仕事、どれにでも当てはまることですが結局「これをやったら相手が喜んでくれるかな」ということを考えて動ける人がホスピタリティー業界どこで働くにしても必要とされると思います。
たとえば、到着時からすこし体調が悪いゲストがいたとき。特に頼まれはしなかったけれど、チェックインのあとに追加の毛布を部屋に届けてあげたらすごく感謝されました。
英語がわからないゲストにその人が翌日に行く場所までの行き方を聞かれたときは、インターネットで調べてその人の母語で説明した道順案内を書いて部屋まで持っていったら、チェックアウトのときにお菓子をくれたりということがありました。
ちょっとしたことですが、自分のできる範囲の「ちょっと嬉しいかも」なことができる人だと、フロントデスクの仕事を乗り越えて行けると思います。
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ここが面白い!つらい!ホテルフロントデスクのGood and Bad
ホテルのフロントで働いてみて思った、いいところ悪いところをあげていきます。
ここが面白い!ポイント
やっぱりホテルで、特にゲストと話す機会が多いフロントデスクで働いていて面白いことは「いろんな場所出身の人と話せる」ことです。
バンクーバーという土地柄、多いのはアメリカからのゲストやメキシコ・ブラジル等南米からのゲストですが、ほかにもドイツやスイスなどヨーロッパ方面からのゲストも多いです。まだ自分が行ったことがない場所からやって来た人と話す機会がたくさんあるなんて、面白いと思いませんか?
カナダ国内のほかの地域からのゲストもやってきます。
「4年前にバンクーバー来て、バンクーバー周辺とトロント以外、あんまり行ったことがないんだよねー」とわたしが言うと、出身地域のいろんな豆知識を教えてくれるゲストも大勢います。
豆知識ではありませんが、ユーコンからのあるゲストは「バンクーバーには買い物に来たんだ!ユーコンって全然なんにもないんだよ!見て!今日はこのズボンとパーカー買ったの!」と、毎日買ったものをお披露目しに来てくれる人もいました。
(※キャピキャピ女子…と想像した方、残念ながら(?)60代のかわいいおじさんでした。)
あと、これはホテル業務そのものとは関係ないことですが、ホスピタリティー業界で働いていると、年に数回ほかの観光施設から無料の招待があります。「今年も忙しい季節よく頑張ったねうちら!お疲れ様!」みたいな意味のものと、イベントプロモーションを兼ねての各ホテルへのスタッフご招待ですね。
スタンレーパークのゴーストトレインや、フライオーバーカナダなどがインビテーションを出してくれます。こういうちょっとしたものが無料で楽しめるのは嬉しい特典です。
ここがつらい!ポイント
うちの場合は二つ星ホテルで安めの宿泊料なので、まれにですが「この人…柄が悪い!」と思うゲストにも遭遇します。
ネットで予約して来る人にはほとんどいないのですが、とくにウォークインで多いのが「この人泊めても大丈夫かな…?」というゲスト。ダウンタウンのバーで飲んで家に帰るのが面倒くさくなってやってきたと思われる人もいます。
あまりにもタチが悪い酔っ払いは泊めると面倒くさい、泊めた場合の利益よりも部屋のダメージなどリスクのほうがでかいと判断したら、口八丁とあの手この手を使ってお帰りいただくこともあります。
とくにこういう人たちは、こちらが怯むと畳み掛けてきます。必要だと感じたら、こちらも相応にでかい態度とはっきりした口調で対応。
ちなみにこういう問題は、三つ星以上のまあまあ値段のするホテルではあまり起こらないことだと思います。
フロントデスクポジションへのアプライの仕方
未経験から突然、海外のホテルのフロントデスクで働くのは少し難しいかも知れません。三つ星以上の少しフォーマルな雰囲気がある場合は特に難しいかも。
日本のホテルで少し働いたり、ホテルのほかのポジションから始めてみるといいと思います。
ほかの記事で紹介しますが、わたしは以前別の大きなホテルのブレックファーストバーで働いていたことがあります。引っ越しを機に辞めてしまいましたが、直属の上司(フードアンドビバレッジ部門)からは「ゲストサービスとかフロントとか、別ポジションに興味あるなら、ポジションに空きが出たら行ったり来たりもできるよ」と言われていたのでこの手はかなりアリです。
わたしがいま働いているホテルのように二つ星のバジェットタイプのところを狙ったり、ホステルやバックパッカーから始めるのも就職しやすいやり方です。
わたしは今働いているホテル(二つ星)がはじめてのフロントデスクポジションですが、その前にホスピタリティーのディプロマと、AHLA(American Hotel & Lodging Association)という北米でのホスピタリティー業で働くのに多少通用する…?かもしれないサーティフィケートを取りました。
これはなくても全然就職できるとは思いますが、もしかしたら履歴書上で多少、選考の助けになっているかも?とは思います。(思ってるだけですが。)
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ホテルのフロントデスクはどれくらい稼げる?
ここでは、2020年1月現在のバンクーバーの状況を前提に話をします。
現在のBC州最低時給は13.85CAD(1CAD=83円として1,150くらい)です。
三つ星以上のホテルだと、最初の試用期間は$15程度、3ヶ月のプロベーションをクリアすると$20程度まで上がるところもあるようです。
ホステルやバックパッカーの場合は、最低時給スタート、そのままずっとあまり変わらないところが多いようです。
わたしの場合は、プロベーション期間は1ヶ月。面接時にはこの期間は最低時給と伝えられていましたが、勤務態度が気に入られたらしく、ちょっとだけ多い$14スタート。
プロベーション後は$15ドルになり、3ヶ月目から$16になりました。年末には多少ボーナスもいただきました。
ハウスキーピングのポジションだとときどきゲストがTipsを置いていってくれることもありますが、フロントデスクだとあんまりこれはありません。今まで半年ほど働いて、3回ほど「とってもよくしてもらったので」ともらったことがありますが、頻繁ではありません。
さいごに
日本でも海外でも、行ったことがないたくさんの国や地域からきたゲストと触れ合えるホテル業で働くことはとっても面白い経験になると思います。
もしバンクーバーやそのほかカナダ国内で、ホテルなど宿泊施設で働いてみたいと思っている人がいたら、今回の記事を参考にしてもらえると嬉しいです。
レジュメやカバーレターについては、ほかの記事で参考例付きで詳しく説明しています。もしも気になるという人がいたら、こちらもぜひ読んでみてください。
では!
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